武田邦彦

2011年09月10日

「ベクレル表示さえすれば東北の農家は助かるのに」

中部大学の武田邦彦さんのブログからの転載です。

ベクレル表示さえすれば東北の農家は助かるのに



東北の農作物や酪農品の90%以上は汚染されていません。しかし、販売店で「東北産」とか「岩手産」と表記されていれば、消費者はイチかバチか「汚染されていないだろう」として買うことはできないのです。

日本は乳幼児死亡率がとても低い国として知られていますが、それは「日本のお母さん」が日頃から、全力をあげて子供の食事、健康、ちょっとした変化に気を配っているからに他なりません。私たちは日本のお母さんが一所懸命にお子さんを育ててくれるからこそ、国の繁栄があることを知らなければならないのです。

そんなお母さんがお子さんに食べさせるのに、「イチカバチ」などということをするはずもないのです。

仮に、流通などの人が東北の農作物などのベクレルを表示してくれれば、お母さんは「東北」だろうが、「福島」だろうが、安全なものは安全なものとして買うことができます。しかし、宮城県の知事は「どうせ、庶民はベクレルなどわからないから、安全だという」という趣旨の発言をされていますが、このような発言は「宮城産」の農作物に対する不信感を増すばかりでしょう(最初の原稿で宮城と岩手を間違えました)。

そして、日本政府が、アメリカが170ベクレル(全部の放射性物質、1キロ)なのに対して、日本が2500ベクレル(セシウム+ヨウ素、1キロ)というようなとんでもなく高い基準値を決めなければ、さらに不信感は減るでしょう。

「東北産」、「岩手産」、「福島産」と言っている限りは、「秋田産」も「会津(福島)産」も同じように「汚染されている可能性があるから買えない」という状態が続いてしまいます。政府には関係なく前向きの態度を望みます。東京にある「外人向け」のスーパーはすべてベクレル表示がついています。外人は具体的な安全を求めているからで、誤魔化そうとしなければ表示は可能なのです。

(平成23年9月10日)

武田邦彦

転載元頁:http://takedanet.com/2011/09/post_d2fd.html

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2011年08月10日

「ニューヨークタイムズの反応と緊急避難地域の解除の動き」

中部大学の武田邦彦さんのブログからの転載です。

ニューヨークタイムズの反応と緊急避難地域の解除の動き



ニューヨークタイムズは8月9日に大きな記事を出し、日本政府がSPEEDIの公開を遅らせ、多くの人の被曝を防ぐことができなかったこと、その判断は「避難させると経費がかかる」というものだったことを明らかにした。

それと同時に、日本政府はまだ1年に換算すると20ミリシーベルトの外部被曝に相当する避難地域の解除の方向を示した。

この二つの動きは、地元の人の健康はもちろん、今度の福島原発の事故について、世界が日本をどのように評価するかを考えなければならない時期に来たことを示している。

1986年にソ連のチェルノブイリ事故の時、ソ連政府はキエフから1100台のバスを出して、翌日には住民を避難させた。そして1年5ミリシーベルト以上になる地域を強制避難、さらには夏に子供たちを遠いところへ林間学校に行かせて、体を休ませるなどの措置をした。

それでもソ連は国際的な非難を浴びて、その後の崩壊につながったとされている。国際化が進んだ現在、日本がどのぐらい「国際感覚」にそった行動をとることができるか、そこが勝負である。


(以下のファイルをダブルクリックしますと、音声ファイルが開きます。ほとんどのパソコンで音声ファイルを開くことができるようになったので、試みに続けています。)

「takeda_20110810no.55-(3:25).mp3」をダウンロード

(平成23年8月10日 午後7時 執筆)

武田邦彦


転載元頁:http://takedanet.com/2011/08/post_ce09.html

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2011年06月14日

”「正しいお母さん」の試験問題”

中部大学の武田邦彦さんのブログからの転載です。

「正しいお母さん」の試験問題



次のような試験問題が「公務員倫理」の出題に出されたとします(模範解答と思われるものを付記しました)。

1) 一般的に言って、お母さんが「子供の被曝をできるだけ少なくするように努力する」という行為は法的に正しいか?

【解答】正しい。法律でも「被曝はできるだけ少なくするように努める」との目的が記載されている。

2) 原発事故のために、すでに法定限度一杯の被曝を受けている子供を持つお母さんが、「暫定許容値」を下回る食材でも、「子供に限度以上の被曝をさせないように、放射性物質を含む食材を使うのを拒否する」という行為は法的に正しいか?

【解答】正しい.個別の食材の暫定基準値より、総合的な被曝量の法定限度(1年1ミリシーベルト)を超えないようにするのが、食材提供者およびお母さんの推奨される行為である.

3) 社会通念上、お母さんが子供の健康に気を配ること、健康を守る上で個別の母親が異なる考えを持っていることは正しいか?

【解答】正しい。人間の親として、また親権者の義務を果たすために母親が子供の健康に留意することを尊重しなければならず、その程度、方法、考え方の多様性を認めなければならない。

・・・・・・

次に、校長先生(教育の管理をしている人という意味。教育委員会でも先生でも良い)に僭越ながら2つ出題をさせてもらいたい.

問題1: 学校にすでに空間からの被曝だけで法定限度一杯の被曝をしている子供に、放射性物質を暫定基準値以下を含む「地産地消」の食材を給食で実質的に強制的に食べさせるのは、学校給食法の精神である「食の適切な指導」という意味で正しいか?

【解答】 法定限度の被曝量は、国民の健康を守るために定められているので、法定限度一杯の被曝をしている児童生徒に、さらに被曝を指せることは不適切である.

問題2: 学校は、空間からの被曝量がある程度ある場合、個別の児童の積算被曝量を計算して、学校における追加被曝(運動、給食、プール)などについて、児童生徒が法定限度を超える可能性があるかどうかを保護者に知らせる義務があるか?

【解答】 ある。児童生徒の被曝量が1年間に1ミリシーベルトを越える怖れのある地域、および時期において、学校は生徒の行動を強制することから、学校における追加被曝を計算し、児童生徒が総合累積被曝量として法定限度を超える可能性がないことを保護者に知らせなければならないと考えられる。

・・・・・・

教育担当者、食材提供者、市役所の職員などは、子供の被曝を法定限度の1年1ミリシーベルト以下にする責務を負っていると考えられます.

従って、個別の児童・生徒・市民について計算もしないで「安全です」と言うことは(神様でなければ)言うことは出来ないでしょう.

また、たとえば九州の学校でも、すでに関東や東北の学校で被曝してきた児童生徒については個別に被曝量を計算して、学校での追加被曝が法定限度を超えないかについて、計算をすることが求められます.

・・・・・・

すでに、「子供を被曝から守って欲しい」と呼びかけるのも何回目かになります。でもまだお母さんが苦しんでおられますし、個別のお母さんを神経質とかモンスターと言って、被曝させることを正当化している市役所や教育委員会も多く見られます。

日本の将来は、子供達の健やかな成長が前提です.また教育基本法でもその目的に「心身共に健全な子供」を目指すことが明記されています.

是非、先生方、校長先生、教育委員会、スーパー、市役所のお役人などは、形式にとらわれず、職務の本質にそって子供達の被曝量を可能な限り減らすことを御願いします.

特に、「福島の人を助けるために、子供を被曝させる」のではなく、「福島の人の生活を大人だけで全力を尽くして旧に復する」方向に進んでもらいたいと思います.

「礼儀正しい個人、愛する家族、信頼できる友、誠実な社会、誇りある日本」

一人一人の行動で、私たちの手に届くのではないでしょうか!

(平成23年6月14日 午前9時 執筆)

武田邦彦

転載元頁:http://takedanet.com/2011/06/post_5c45.html

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2011年06月09日

”原発事故中間まとめ(4) 「悪意」か? 私たちの政府”

中部大学の武田邦彦さんのブログからの転載です。

原発事故中間まとめ(4) 「悪意」か? 私たちの政府


3月11日、福島原発が時々刻々、破壊に向かっているとき、発電所と政府は共に国民に事実を知らせなかった。

1)
発電所長は消防に通報しなかった、

2)
政府は国民に危険を知らせなかった。

しかし、この二つならまだ「準備不足」とか、「普通に見られる隠蔽体質」とも言えるが、逃げる方向について政府が発表したとき、私は「まさか!」と耳を失った。

原子力の専門家ならすべての人が知っていることなので、「悪意」としか考えられないが、本当だろうか?

・・・・・・

「放射線」というのは「光」だから、自分の目で福島原発が見えなくなったら、「福島原発から直接来る放射線は来ない」。

だから「被曝する」のは「放射性チリ」からだ。

原発が爆発するとき、原発の建物は「天井方向に抜ける」ように設計されている.

これは爆発の可能性のある建物を設計するときの常道で、「爆発のエネルギーが原子炉や人のいる下の方に行かないように」という配慮である。

福島原発の水素爆発でも、屋根が抜けてまっすぐ上に100メートルほど煙(放射性チリ)が舞い上がった.

もし、そのまま無風の「状態」が続けば、吹き上がった放射性チリの「粒」はそよそよとそのまま原子炉建屋の中に帰って行っただろう.

でも、現実には無風の状態がそれほど長く続くわけではない.上空にまっすぐ上がった放射性チリは、風に流されて徐々に西北(一部は南)に向かった。

その時、政府は驚くべき発表をしたのである。それは、

「放射線の強さは距離の二乗に比例するので、遠くに逃げれば良い」

ということであり、それを受けてNHKのテレビでは東大教授が、

「10キロ地点から20キロ地点に逃げると、被曝量は4分の1になります」

と解説をしていた。「かけ算」をせずに1時間1ミリシーベルトを「レントゲンの600分の1」などと言っていた時代だ.

それを真に受けた多くの人たちは、

「原発から遠くに逃げろ」

と思ったのは当然である.

これほど簡単なことを間違えるはずはないから、どうも「悪意の政府」、「鬼の東大教授」のように見える。

なぜなら、「正しいことが判っていて、わざと国民がより多く被曝するように指導した」からだ。

原発の事故では「原発を背にして、遠くに逃げる」のはダメである。

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この図を見て欲しい.

福島原発が爆発すると、そこからの放射性物質は風で流れる.どちらの方向でも同じだが、もし「西北」の方に流れたとしよう。

その時に、政府が「原発から遠ざかれ!」と言った。

国民はまさか政府が悪意を抱いているとは思わないので、原発を背にして逃げた。

でも、図のAさんは風下に当たっていたから、逃げれば逃げるほど原発から襲ってくる放射性物質の中にいた。事実、逃げたところで粒が上空から降ってきたので、もと居た場所より多く被曝した。

Bさんも、Cさんも風下には当たっていなかったので、逃げる必要はなかったが、政府を信じて逃げた。

そうして、Bさんは郡山まで逃げ、そこで迂回してきた放射性チリで被曝し、元のところの方が低かった。

・・・・・・・・・

つまり、

1)
風下に当たっている人は、原発から遠ざかれば遠ざかるほど、長時間被曝する、

2)
「横に」10キロも逃げれば、被曝しない.つまり「原発から遠ざかる」のではなく、直角に逃げろということだ、

3)
風下の当たっていない人は遠ざかっても関係がない、

ということが判る。

私が最初のころ、火山の噴煙の動きを貼りつけて「風下はダメだ」と言い、気象庁に「風の向きを予報してくれ!」と叫んだのはこのことだ。

気象庁は知らない顔をしていた。彼らも放射性チリの流れを知っていて、言わなかったのかも知れない.

・・・・・・・・・

もちろん、原子力安全委員会、原子力保安院は知っていた。専門家集団であり、普段から原発のシビアーアクシデント(大事故)を考えに考えているのだ。

こんなことを知らなければ職務が遂行できない.私は彼らが知っていたことを知っている。

ということは、国民がより多く被曝するように「放射線は半径の二乗で・・・」と言い、「遠ざかれ」と言ったと思わざるを得ない。

事実、それを信じた首長さんは住民を連れて原発から遠ざかろうとして、さらに被曝した。

何ということだろう!

万が一、今回の事故で病気の人がでたら、政府と安全委員会は「傷害罪」ではないか? あちらに逃げれば火傷をすると知っていて、その方向に逃げるように指示する人などいるだろうか?

何でこんなに大きな間違いをして、平気なのだろうか? 今からでも修正しておけば、今後も役立つのに、なぜ謝罪しないのだろうか? 

・・・・・・

今回の事件は、多くの面で、「一体、政府とは何か?」、「知識とはなにか?」を訴えているように思える.

(平成23年6月9日 午前8時 執筆)


武田邦彦

転載元頁:http://takedanet.com/2011/06/post_8fb4.html

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2011年06月02日

「原発事故中間まとめ(2) 原発事故の通報について考える」

中部大学の武田邦彦さんのブログからの転載です。

原発事故中間まとめ(2) 原発事故の通報について考える



第一回の中間まとめで「福島原発が爆発することが「現場で予想できた」時点で、発電所長か運転主任などが、直接、社会に通報する」ということを書きました。

おそらく多くの人は「そんなこと、できるの?」という感じだったと思います。

東電は会社ですから、「上司の許可を得る」ということが絶対で、特に会社に大きな影響を与えたり、評判を守ることに関係することは、上司の許可は欠かせないと考えられるからです.

しかし、私がこのブログで書いたこと・・・私の若い頃の経験・・・から言えば、火災事故が起こる化学工業では、自分の身の回りで小火(ボヤ、小さい火事)が起きたら、

1) ボヤを自分で消せると考えるな、

2) まず、市営消防に電話しろ、

3) 次に、工場防災隊(消防車が2台)に通報しろ、

4) 3番に、上司に連絡しろ、

ということだ。

その理由として、私に説明した人は、

「この工場は、「社会から認められて危険な化学物質を製造している.だから、危険が生じたらまず社会に知らせる」

と説明した。

若い頃の私はこの指導を受けて、ビックリしたし、また社会と企業との関係はこういうものかという点で、私の生涯の考えにも影響を与えました。

・・・・・・・・・

日本で石油化学工業、つまり大規模なコンビナートが産声を上げたのは戦後間もない1950年代でしたが、最初は火災事故や爆発事故がつづき、社会の反撃を受けました。

そのため、たとえば次にできたコンビナートと社会の間には、「ベルト地帯」ができ、たとえ火災が起こっても、住民を脅かすことにならないようにとの「ハード面」での方策がとられました。

そして「ソフト面」では、「火災が起こりそうだったら、市民消防に連絡する」という教育です.

日本社会は消防が「防災」を担当しています.それが火災であっても、病気(救急)であっても、台風災害であっても、消防です.

犯罪なら110、災害なら119というわけです。

もちろんこのことは原子力でも同じです.化学火災に対して特殊な消防方法を使える消防は、原子力についても「強い放射線のもとで、原発事故を抑える技術と体制」を持っているはずです.

今、福島原発では当然のように東電社員が事故処理を行っていますが、化学工場の火災事故では、すべては市営消防の指揮下に入るのです.

なぜ、火災の時に「私有財産」である「化学工場」が、「公的な消防の指揮下に入る」という理由は、「社会に影響を与えるようになった施設は所有権が及ばない」ということを意味しています.

・・・・・・・・・

私は福島原発事故が起こった後、何回か「福島原発をなぜ国家の指揮下に入れないのか?」という疑問を述べてきました。

すでに原発事故の影響は福島県を中心とした日本の広い領域に及んでいて、そこでの住民の被曝や生活に大きな影響を与えています.そのような場合に、公的な機関が「東電」を尊重しているということに強い違和感をおぼえるからです.

また、最初に述べたこと・・・東電の発電所の従業員が直接、消防に爆発を通報する・・・というのも十分可能と思います.

すぐ「そんなことをしたらパニックが起こる」と心配する人がおられると思いますが、

「パニックが起こる」

というのは、

「事故を想定せず、準備せず、訓練していない」

からであり、もっとハッキリ言えば、

「原発事故が怖いから、想定もしない」

という「逃げの姿勢」だからです。災害に向かい合う強い意志が求められます。

・・・・・・・・・

まだ、日本の原発は運転されています。

もし、このまま運転するなら、「想定、準備、訓練」をすること、「原発従業員が、事故が起こりそうな時に、直接、消防に連絡すること」をまずすることでしょう。

日本で原発を運転すること、それは「原発事故」を正面から見ることができる日本人の胆力にかかっています。

そして、日本社会をすこし改善するために、

「私たちは、企業人の前に日本人だ」

という思想はすべての分野で適応することでしょう。

(平成23年6月2日 午前7時 執筆)


武田邦彦

転載元頁:http://takedanet.com/2011/06/post_8e24.html

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2011年05月31日

「原発事故中間まとめ(1) 爆発が判った瞬間」

中部大学の武田邦彦さんのブログからの転載です。

原発事故中間まとめ(1) 爆発が判った瞬間



福島原発は2011年3月11日午後3時頃、震度6の地震に見舞われ、施設の一部が破壊されました。

その後、1時間後に約15メートルの津波がきて、さらに大きな損傷を受け、続いて翌日の水素爆発で破壊しました。

このように連続的な打撃を受けたので、現在の時点で、どこがいつ破壊されたかを正確に判断することはできず、今後、事故調査を通じて徐々に明らかになっていくでしょう。

私は、福島原発が日本の他の原発と同じように、耐震性、耐津波、そのほかの自然災害やテロなどに対して、非常に弱くできているので、震度6の地震や15メートルの津波という「普通に起こる自然災害」で大きな損傷を受けると考えていました。

だから、福島原発が地震で壊れても、その点についてはそれほど驚きはしませんでした。まったく自慢するつもりはありませんが、すでに2年以上前に、幻冬舎のご厚意で「偽善エネルギー」という本を出し、そこで「原発は地震で倒れる」ということを書いていたからです.

「震度6、15メートルの津波」は日本人の常識ですが、原発では「想定外」だったのです。

・・・・・・・・・

いずれにしても、11日の地震と津波で損傷し、原子炉を冷却することが出来なくなりました。

地震直後のことで、現場はかなり混乱していたと思いますが、私が大きな原子力施設の責任者をやっていた経験では、自分の装置は手に取るように判るものです。

特に、弱点というのは何時も気になっているので、あることが起こるとそれによって連続的に続く「まずいこと」は走馬燈のように頭に浮かぶものです。

事故後の詳細を時間と共に整理している新聞を読んで、私は次のように思いました。

1) 11日の夕刻には、責任者(発電所長や運転主任)は12日に原発が爆発することが判っていた(理由は後に示す)、

2) 爆発によっておおよそ10京ベクレル規模(原発1基がその中に抱えている放射性物質の1000分の1程度)の放射性物質が漏れることが判っていた、

3) 福島の人に避難命令をだすことは原発の責任者には出来ないので(制度上、間違っているが)、東電本社から直ちに政府に連絡が行ったのは間違いない。

4) 福島県知事も11日の夕刻の時点で、12日に原発が爆発して大量の放射性物質が漏れることの連絡を受けたはずである。

仮に11日の夕刻(18時頃)の時点で、発電所長からの「爆発予告」に対して、政府と福島県が国民や県民に誠実だったら、直ちに気象庁に連絡して、風向きを調べ、原発から西北(福島市方向)、および南(いわき市方向)の人たちに対して避難指示をしたと考えられます.

・・・・・・・・・

多くの人は「政府や役所というものは、ことが起こらないまで隠すものだ」ということを経験的に知っていますが、原子力だけは「原子力基本法」によって「民主、自主、公開」という原則が貫かれていて、それを約束して政府は国民から「原子力をやって良い」というお墨付きをもらっているのです.

だから、11日夕刻の時点で、政府は「福島原発が12日に爆発して、大量の放射性物質が漏洩する」という発表を行い、直ちに風下の住民の避難準備(バスを用意する)、畑の養生(田畑の上にビニールシートをかぶせる)などができたはずです。

「危機管理」とはそういうことです。

危険が起こると考えられるものについては、「危険が来る前に、危険を予想し、準備し、演習する」ということで、単に「危険がある」と口で言っているだけではありません。

このことは、今、まだ運転を続けている日本の原発にも必要なことで、出来るだけ早く政府と自治体は「予想、準備、演習」をしなければなりません。

まして、原発が自然災害で倒壊し、「施設が破壊し、大量の放射性物質が漏洩し、住民が被曝する」というのは予想されていて、それが「地震指針の説明」に載り、さらに閣議の了解も得ているのです。

・・・・・・・・・

現在の時点(2011年5月末)で、もっとも大切な事は、福島原発の教訓を活かして、原発を運転している地方では、

1) 発電所は原発の爆発が予想された時点で、その事実を直接、社会に公表できるようにする、

2) 直接、公表して、実際に事故が起こらなくても咎められず、発表せずに事故が起こったら、懲役になるというシステムを作る、

3) 原発の所長は、社会に公表してから東電本社、政府などに連絡する(このことは私が会社に入ったときに受けた「火災と通報」の記事に詳しく書いてあります)、

4) 発電所長の公表によって、自治体は直ちにあらかじめ準備し、演習していた避難を開始する。避難の途中に事故の可能性が無くなったら、通常の生活に戻る.この場合、避難した国民は電力会社に損害を請求しない、

などをする必要があるでしょう。

地震から1日の間、私たちはずいぶん、のんびりとしていたことが判ります。でも12日には私のところに、「逃げた方が良いか?」という多くの問い合わせがありました。

よく考えている人は、最初から事実をよく把握していたのです.

(平成23年5月31日 午前10時 執筆)


武田邦彦

転載元頁:http://takedanet.com/2011/05/post_5d35.html

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2011年05月30日

「神になった人たちのリスト」

中部大学の武田邦彦さんのブログからの転載です。

神になった人たちのリスト



何の根拠もなく「被曝しても安全だ」と言う人が増えてきました。それが止まりません.

被曝するとガンになるのですから、根拠無く「安全」という人は神になった人です.常識ある人間はそんなことは口に出せません。

他人の健康のことで、人が何か口にするには、まず第一に日本は法治国家ですから「法律」、第二に医学医療や学問的に定まっていること、そして第三に自分の研究結果などです。

第二(学問の定説)のことを言う時には、第一(法律)に触れなければならず、第三(自分の研究)をもとにするときには、第一、第二にふれて、それとどこが違うか、その理由はなにかを説明しなければなりません。

・・・・・・・・・

日本の法律では、一般人は1年1ミリ。管理区域(健康に留意して、栄養のバランスをとり、被曝量を測定する)では5.2ミリと定められています.

国際的(ICRP)では「被曝に応じてガンが増える」とされていて、1年1ミリが「我慢の限度」とされています。

・・・・・・・・・

【神になった人】

1.

文科省大臣: 「児童の被曝は外部被曝だけで20ミリまで安全」(ICRPはそんなことは言っていない)、

2.

福島県アドバイザー: 「1年100ミリまで安全」(福島医大の講演では、「この医大の被曝医療は世界に誇るレベルになる(患者がでる)」と発言)、

3.

官房長官: (60京ベクレルで被曝しても)「直ちに健康に影響はありません」(直ちにとは、人生が80年だから、10年から20年は直ちにだろう)、

4.

保安院: 「海水中の放射性ヨウ素が規制値の3355倍でも、健康に影響はありません」、

5.

柏市: (市内に1年1ミリを越える地域があるのに)「原発事故に伴う放射線量率等に関する市の考え方」という文章に、「千葉県北西部地域が相対的に高い数値であることを基にネット上に不安を煽るような書き込みがされている」と「1年1ミリ以上のところを警告すること=不安を煽る」としている。

6.

東大、柏国立がんセンター「少々高めの線量率だが、人体に影響を与えるレベルではなく、健康に問題はありません」

7.

その他、大勢(根拠がないのに、影響がないといっているのはNHK、朝日新聞、一部の医療関係者、放射線専門家、知識人など)

・・・・・・・・・

特に、東大、がんセンターのコメントが実に奇妙です.

「少々高めの線量率だが、人体に影響を与えるレベルではなく、健康に問題はありません」

とあります。

測定値はほぼ1時間0.5マイクロシーベルトで、1年間では約4ミリシーベルトになります。

つまり「少々高め」であることは認めています.それでも「人体に影響が無く、健康に問題がない」としていますが、この根拠はなにもありません。

勝手に「感覚で決めたか、政府の言いなりか」のどちらかです。市民が被曝している最中に、法律を無視すると人体実験になります。

正しくは、「一般公衆が1年に被曝している限度を越えているが、管理区域よりは少ない.だから、ある程度、健康に影響のあるレベル」とコメントする数値です.

・・・・・・

福島原発事故が起こって以来、国は突然、法律を無視して、被曝の影響を小さく見せようと、法律違反まで起こして懸命に広報をしています。

でも、なぜ東大がそのお先棒を担がなければならないのでしょうか? 東大は学問的に独立していますし、これまでも多くの委員をだして、1年1ミリを決めてきた機関の一つです.

それがなぜ、自らの学問的判断をすてて国にすり寄るのでしょうか?

東大(柏)は「風評被害を小さくする」ということに責任を持っているのでしょうか? それとも「自分たちは神だから、他人の健康を勝手に決めることが出来る」と思っているのでしょうか?

柏市の言動も、とても奇妙です.

柏市は、「専門機器に熟練した技術職員が必要となるため、市では対応ができません」と言い、「東京大学・国立がん研究センターの調査結果が柏市を代表する値と考え」としているのですから、0.5マイクロ(毎時)がでれば、市民に対して「管理区域涙から、被曝の警告をします」という広報を出す必要があります。

1年1ミリ以上の状態を「注意が必要」というネットの書き込みを「風評」というのはあまりにも「法律違反、市民の健康無視、親切心なし、市民は家族でもなんでもない物体」と思っているのが露骨です.

自治体が「法律を守ろう」と呼びかけている人を「風評を煽る人」というのは、前代未聞で、顔を見たくなります。

自治体は放射線についてあまり関与できないのですが、だからといって「市民を被曝させるのに熱心」という市役所は存在価値があるのでしょうか?

・・・・・・・・・

それにしても、日本人は本当に政府に盲目的に従うものだと改めて思います。その理由が「お金」なのか、「一人の人間として独立していない」のか判りませんが、良くも急に変わることが出来ると感心します。

●どうして、柏市は法律違反を起こしてまで、市民に「被曝しても良い」と言うのでしょうか? 

●朝日新聞はこれまで「被曝は危険」と言い続けてきた先鋒だったのに、政府が安全と言い出すと、突然、「被曝は安全」、「ガンになってもかまわない」と豹変したのでしょうか?

是非、ご本人から理由を聞きたいものです。

「神」はあの世の「神様」だけにしてください。

(平成23年5月30日 午前9時 執筆)


武田邦彦

転載元頁:http://takedanet.com/2011/05/post_a8d4.html

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2011年05月28日

「幼稚園の砂場と園庭 ・・・ あるお母さんから」

中部大学の武田邦彦さんのブログからの転載です。

幼稚園の砂場と園庭 ・・・ あるお母さんから



お子さんが通っている幼稚園の砂場と園庭の土を、ご自分がお金を払って検査したお母さんがおられます.

場所はさいたま市、結果は次の通りです(1キログラムあたり).

ヨウ素-131 109ベクレル

セシウム-134 412ベクレル

セシウム-137 432ベクレル

・・・・・・・・・

この結果を法律的に見てみましょう。

529_1

日本の法律はすべて同じ数値を使っていますから、どれでも良いのですが(文科省、厚生労働省など)、ここでは幼稚園なので、厚生労働省の「電離放射線障害防止規則」を示します(添付のものは何時もの通りダブルクリックしたらよく見えます)。

古い規則(法律)ですが、今年に改正になっています.

529_2

この条文では、「事業者」(つまりこの場合は汚染した東電と、土地を管理している幼稚園)が、放射性物質である場所を汚した場合、

1) 汚染が拡がらないようにすること、

2) 人が入らないように標識を立てること、

3) 表に示す値の10分の1に下げること、

が定められています.

529_3

そこで、ここの別表というのを見てみると、アルファ線を出すものとアルファ線を出さないものに分けていますので、アルファ線を出さない値、つまり1平方センチメートルあたり40ベクレルが基準です.

このお母さんが砂場や園庭の土をどのぐらいの深さでとったかは不明ですが、普通は3センチぐらいでしょう(福島原発事故の少しあとに、IAEAと保安院の測定値が違ったのも、掘る深さが原因で、このようなことは専門家でもあまり厳密には出来ないので、お母さんのサンプルの採り方は問題はありません.)

次に土はもともと比重が2.2ぐらいですが、空間もあるので、見かけ比重が1.0とすると、1キログラムの土を3.3センチの深さでとったら、面積は、

3.3センチの深さ×300(平方センチメートル)=1リットル=1キログラム

となります。

つまり、測定値を300で割ると、1平方センチメートルの値になり、表の数値を比較する事ができます。

また、複数の放射性物質の場合はそれぞれの割合を合計すると決まっていること、この場合は全てが同じ基準なので、953ベクレルになり、1平方メートルあたり3.2ベクレルという計算になります。

管理者は基準値の10分の1にしなければなりませんから、標識を立てなくても良いのは4ベクレルです。

【結論】

1) 基準に対してギリギリ、セーフ、

2) 幼児ということを考えて基準の3分の1(幼児の感度補正)をすると、除染限度の2.5倍、

3) 従って、このままでも法律違反ではないが、今は空間、食材からの被曝もあるので、幼児の健康のことを考えると、表土を少し削った方が安全、

と言う結論に達します.

・・・・・・・・

素晴らしいお母さんです!!

おそらく埼玉県のさいたま市では「福島原発から遠いから」という理由で行政は動かないでしょう.

でも、お母さんは自らのお金を出して、測定してもらったのです.もし、この値が2倍だったら、砂場は「標識で囲わなければならない」という場所だったのですから、思い切って土をとって測定に出したことは良かったと思います.

これをするには、幼稚園が認めてくれること、土をビニール袋にいれて測定機関に送ることなど、多くの面倒なことがあったと思います.

・・・・・・・・・

いろいろ、考えることがあります。

さいたま市が今、どのようなサービスをしているのかは不明ですが、普通の場合は自治体はなにかと理由をつけてお母さん方の不安を「口先」で解消しようとします。

でも、普段、市民から税金をいただき、お給料を受け取っている市役所の人としては、こんな時こそ、恩返しをするときなのでしょう.

口先で言うのではなく、「測定して不安を解消する」という積極的な行動をするのがよいと私は思います.

もう一つは、私たちは税金を半分ぐらいにして、このような時に自分たちで使うのはどうでしょうか?

これは名古屋が市民税10%減税で行っていることですが、「税金を減らして、その分、市民一人一人が市のためにお金を使う」というおことを進めています.

さいたま市がこのお母さんの功績に対して、どのように報いてくれるのか、それも注目するべきことでしょう.

とにもかくにも、あまり酷い数値ではなくてホッと一安心です.

(平成23年5月28日 午前9時 執筆)


武田邦彦

転載元頁:http://takedanet.com/2011/05/post_4a28.html

soranimukatte_23 at 14:35|Permalink

2011年05月25日

”新しい「信頼される」生産者・流通の時代に!”

中部大学の武田邦彦さんのブログからの転載です。

新しい「信頼される」生産者・流通の時代に!


少し前に、日本で盛んに中国の食材を批判した時代がありました。

それに対して、中国は「食品の安全の基準はしっかり守っているし、実際、中国で大きな問題は起きていない」と言っていました。

でも日本国内の不信感は変わりませんでした。

それは、「どうせ中国がそんな事言っても、信頼できないから」ということだったでしょう。

つまり「信頼」というのは、多くの生産者や流通の人がすでに良くわかりのように、単に数字上のこととか、言葉で言ったということではなく、買う人の信頼をどのように得るかということにかかっていると思います。

・・・・・・・・・

現在、食材と放射線の関係で多くの人の不信感を呼んでいるのは、現実に福島原発が始まった時から今までの経過なのです。

その最も良い例が水道の規制値です。

世界の基準値としては、WHOが1ベクレル(リットルあたり(以下同じ))で、ドイツガス水道協会が0.5ベクレル、アメリカは0.11ベクレルです。

これに対して3月17日までの日本の基準値は、ヨウ素が10ベクレル、セシウムが10ベクレルでした。

今回の福島原発の事故がなければ、多くの人が水道の基準を気にしているわけではないので、10ベクレルでもさほど問題がなかったと思います。

しかし、福島原発を事故が起こり、現実に水道が汚染されてくれば、誰でも、本当に大丈夫だろうか?と思うのは当然です。

特に、小さいお子さんをお持ちのお母さんは、粉ミルクを水でとかなければいけませんし、赤ちゃんをお風呂に入れることも必要です。

そのお母さんが大丈夫だろうか?国際的な基準が1ベクレルなのに日本は10ベクレルで大丈夫なんだろうか?と心配するのはごく当然のことです。

ところが日本の政府も、自治体も、そして日本の官庁の中ではかなり信頼できる水道局も、「なぜ国際基準が1ベクレルなのに、日本の基準が10倍なのかを積極的には説明しませんでした。

・・・・・・・・・

それに加えて驚くべきことが起こったのです。

福島原発が爆発したので、各地の放射線量が上がり水道が汚染されました。そうすると、3月17日になって「暫定基準値」がでて、驚くことに、ヨウ素が300ベクレル、セシウムが200ベクレルに跳ね上がりました。

国際基準が1、事故前10、事故後300!! 説明無し。それで「信頼しろ」と言っても、ノーマルな人間には無理です.

・・・・・・・・・

それと共に、牛乳や乳製品が ヨウ素300ベクレル(キログラムあたり)、セシウム200ベクレル、 野菜類は2,000ベクレルで、根菜類などは不明? 穀類500,肉・魚その他が500となったのです(一部は昔から。どれがどれか不明)。

この数字はやや曖昧です。曖昧なままブログに書いたのは理由があります。わたくしはこの数字を、もう一度確認して書こうと思ったのですがやめました。

それは、子育てで忙しいお母さんが、いちいち、数字をチェックするということができないからです。

それでも、普通のお母さんに比べると、わたくしの方が少し知っているかもしれません。今、わたくしの頭にはだいたいこのぐらいしか入っていないのです。

わたくしが「お父さんとしての視点で見る」と言っているのは、普通のお父さんやお母さんは大ざっぱな事しか覚えてません。

それぞれ生活がありますし、まさか放射線の暫定基準値の専門家でもありません。「どうも10ベクレルぐらいの値が、事故が起こったから300ベクレルに引き上げられたらしいという感じを持っているだけです。

また、お父さんですから、「国」がなんといおうと家族を守らなければなりません。国が決めたいい加減な「事故後の値」などは、お父さんは関心がないからです。

・・・・・・・・・

中国の食材でありませんが、こんなことをされて「食材が安全だ」と信じろといっても到底、無理です。

水道の基準でも事故が起こる前に決めてあった10ベクレルというのには、それなりの根拠があるからです。わたくしのブログには、計算値を示して、水道はせいぜい20ベクレルまでという計算値が書いてありますが、何かの根拠がなければ値を変えることはできないのです。

しかも、現在は江戸時代ではありませんから、「お殿様が決めたから、それに従え」というわけにはいかないのです。

・・・

そんな中で、生活協同組合が茨城産の農作物を全国に運んでいます。

そして生協の人は次のように言っています。

「生産農家が一生懸命つくった安全な野菜なのに、出荷できない。何ともいたたまれなかった」という。

消費者に安全をPRし、生産農家が今後もおいしい野菜をつくり続けられるよう、4月上旬に共同購入による応援フェアを企画した。

 対象は、全国的に需要が落ち込んでいる福島、茨城、千葉、群馬、栃木の5県のうち、同生協がこれまで産直野菜の取引のあった8産地のキュウリやレタスなど計14品目。国の検査をクリアした安全なもので、毎週9品目を選んで案内している。」

でも、ここで担当者が言っておられる、

「生産農家が一生懸命つくった安全な野菜なのに、出荷できない。何ともいたたまれなかった」

というのはどういう意味でしょうか?

ここで、生協の人が言っている「安全な野菜」というのは、国が事故処理に重きをおき、国民の健康を第二にして決めた300ベクレルのことでしょう。

300ベクレルなら安全だというのは、全く説明されていません。

1年に1ミリシーベルトという法律で定められた安全の基準を守ろうとしたら、食品は10から20ベクレルぐらいが一つの目安になります。

もし生協が本当に買うお母さんの身になったら、次のように言うでしょう.

「このホウレンソウは国の基準は満たしていますが、お子さんが1年1ミリシーベルト以上の被曝をさせたくなかったら、普段の30分の1ぐらいまではお買い求めできます」

という「販売量制限」をするはずです。

・・・・・・・・・

また、生協の人が言ったという「何ともいたたまらなかった」という表現はわたくしには衝撃を与えました。

野菜というのは、生産すれば食べなくてもいいのでしょうか?

わたくしは農家が一生懸命作る目的は、日本のお子さんが安心して食べられる野菜を作るからだと思います。

いたたまれないのは、むしろこのような野菜を買わされるお母さんの方ではないでしょうか。

・・・・・・・・・

関東大震災の後、この悲劇を生かして、日本はかなり近代化されました。それは関東大震災の前までには、日本の中にまだ江戸時代の古い習慣が残っていたのですが、それが関東大震災という大きな災害をきっかけに前進したのです。

今回の福島原発の事故は日本にとって大変に大きいものでした。

でもこの原発の事故を教訓にして、もしも日本の農作物の生産者が本当に安全な食材を消費者に提供し、生協が自ら計算をして日本の子供たちが食べても大丈夫な食材を提供するようになったら、前進と思います.

・・・・・・・・・

事故が起こってから国は「健康に影響がない」を繰り返してきました。また、多くの放射性物質が福島などに降り注いでいるのに、その事実を隠していました。

そんな国であることを知りながら、消費者を守るはずの生協が「国の検査をクリア」というのは、生協を信頼していた私には理解できません。

生協で販売されている、福島、茨城、千葉、群馬、栃木の5県の野菜は「放射性物質で汚染されている」ので、購入してはいけないことが判ります。

また、生協はトラックで日本中に「放射性物質」を運んでいるので、それはすぐ止めてもらいたいものです。

未来をつくる日本の子供達のために、私は批判を受けることを承知で「個別・具体的に」危険な食材を指摘していきたいと思います.個別のことを言うのですから、私の名誉は傷つくでしょうが、子供を守ることの方がずっと価値がありますから。

(平成23年5月24日 午前11時 執筆)


武田邦彦

転載元頁:http://takedanet.com/2011/05/post_dd9a.html

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2011年05月20日

「億・兆・そして京」

中部大学の武田邦彦さんのブログからの転載です。

億・兆・そして京



すでに福島原発はあまり心配ないとか、できるだけ被曝を少なくするように工夫してくださいなどと、矛盾したことを書いているように感じておられる方からのお便りをいただきます.

実は、テレビなどであまり報道しないので、錯覚しがちなのですが、今回の原発事故はかなり特別なのです.

・・・

普通、「どこどこの原発から放射線漏れ!」と大々的に新聞が報じ、大騒ぎになり、政府が調査団を派遣し、運転が止まり・・・というような事件が起こるときに漏れる放射線量は、

(数億ベクレル=1万×1万)・・・1万が2つ

なのです。

ところが、今度の福島原発で漏れた量は、

(数10京ベクレル=数10×1万×1万×1万×1万)・・・1万が四つ

で、普通の原発事故の「数10億倍」なのです。

・・・

そして、今、漏れている量は

(1兆ベクレル=1万×1万×1万)・・・1万が3つ

ですから、普通の事故の1万倍です.だから「まだ大変な量が漏れている」ということになりますが、3月下旬の量と比較すると、数10万分の1になりますので、正反対に「たいした事はない」となります。

つまり、現在の状態は

● 普通に比べれば、1万倍

● 3月に比べれば、数10万分の1

ということです。

ですから、「まだ福島原発からでているので、掃除をしてもムダなのではありませんか?」という質問に対する答えは、「普段ならそうなのですが、100000降り積もっているところに、あと1から10ぐらいがふりつもり、100001か100010になるだけ」と言うことです。

また3号機や4号機も不安定ですが、私は若干の爆発が起きても、今の1000倍ぐらいだろうと思います。そうすると、

100000が101000になるだけですから、これもあまり注目すべきではなく、むしろ最初の100000の方に注意を向ける(今、すでに降り積もっているものの方が重大)ということです。

ややこしいのですが、億、兆、京というのは1万倍ずつ違い、いかに3月に飛び散った放射性物質が多かったか判ります.

・・・

ところで、理解しにくいのは、普段「億ベクレル」で大騒ぎする政府、新聞、テレビなどが、「京ベクレル」の規模になって、驚き、ビビって、反対に「安全です」などと言ったからややこしいことになりました。

これだけ、大きく言うことが変わると、戸惑うのは当然です.

また自治体や学校などで、「健康に影響はない」と言っている人も、「京ベクレル規模で漏れた」ということをもう少し真剣に考えてください。

(平成23年5月20日 午後8時 執筆)


武田邦彦

転載元頁:http://takedanet.com/2011/05/post_d7c9.html

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2011年05月18日

「科学者の日記110517 国会・文部科学委員会にて」

中部大学の武田邦彦さんのブログからの転載です。

科学者の日記110517 国会・文部科学委員会にて



5月17日、午前9時から12時まで国会(衆議院)文部科学委員会で参考人として陳述をしてきました。

私の論点は3つ、

1) 日本の原発は自然災害で破壊する、
= 国策で大災害をもたらすことをやっている。

2) 放射性物質が漏洩することに国は防御計画がない、
= 国策で国民救済をしないことになっている。

3) 原子力基本法の「公開の原則」が無視されている.

でした。

さらに、代議士の方との議論は「小学校の20ミリシーベルト」に集中しました。

私は次のことを主張しました。

1) 福島を汚しているのは、単に「粒」なので、全力でできるだけ早く除去すれば、農作物は汚染されず、小学生も被曝しない、

2) 「粒」を福島全体で除去すると効果はさらに上がるので、国がやるのが望ましい、

3) 「1年20ミリシーベルトでも安全」という人がいるが、安全というデータがないのに人の命に関わることを言うのは医師とも専門家とも呼べない、

4) 文部省の1時間3.8マイクロシーベルトというのは、内部被曝を入れていないこと、学校以外の線量率を低く見ていることなどから、1年60ミリシーベルト相当である、

5) 子供はあらゆる面で大人より被曝量が多く、放射線に対する感度も高いので、子供を守れば大人は守れる。

すべて今までの私の考えですから、特に新しいことはありませんが、国会の場で発言の機会を作っていただいたことに深く感謝しました。

少しでも早く多くの子供の被曝が減ることを願っています。

・・・・・・・・・

文部科学委員会の議論を通じて、私は次のように結論することができました。

● 1年100ミリシーベルト以下の被曝では「医学的にハッキリとしたデータがない」こと、

● 「データがない」ということは、誰も「危険」とも「安全」とも言えないこと。

● 繰り返すと、「20ミリまで安全だ」という人は「何の根拠も無く言っている」ことになること、

● 1ミリから100ミリまでは「データがないが、危険性が高い」ので「国際的に約束した方程式を使う」と決まっていること、

● だから、1年1ミリ以外の数値は「一般公衆」で「健康のチェックもしない」という状態ではあり得ないこと、

● 仮に、「一般公衆」で「健康チェック、注意」などをすれば、5.2ミリまでは「安全のようだという実績」があること、

● 従って、一般公衆に対して、1ミリと5.2ミリ以外の数値はないこと。

今年、3月の初期被曝をした人は、1年5.2ミリを下回ることが難しい場合もありますが、少なくとも来年以後は、国民全体が1年5.2ミリ以下を守ることができるのです。

そのための除染を大至急することが、今、日本国にとってもっとも大切なことと思います.

そして、綺麗な大地を取り戻した後、放射線医学、放射線防護の人たちが、慎重に「1年何ミリか」を検討して結論を出してください。

それによって「原発を選択できるか」も決まります.

つまり1年100ミリなら今の原発でもほぼ大丈夫で、原発は主要な電気を発生させるもっとも大切なものになるでしょう。

逆に1年1ミリなら、今の原発はすぐ止めなければなりません。ものすごく大きな選択なのです.

・・・・・・

でも、私は、こんな無意味な議論をして、除染の対策をとらず、子供達が人体実験を受けているという状態はまったくナンセンスと思いました。

(平成23年5月18日 午後5時 執筆)


武田邦彦

転載元頁:http://takedanet.com/2011/05/110517_e3cc.html


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2011年05月17日

”科学者の日記110517  「福島の胆力」と「乞食集団」”

中部大学の武田邦彦さんのブログからの転載です。

科学者の日記110517  「福島の胆力」と「乞食集団」



自分が日本人だからかも知れない・・・何回もそう思い直してはいるけれど、それを割り引いても日本人というのは立派な民族だ。

それは今度の地震や原発事故でも見事に示された。

世界でこのぐらい大きな災害が起きても、冷静に我慢強く、礼儀正しく自らを律することができる民族は他にないだろう。

2011年5月16日、私は福島にいって福島県の人とお話しをしてきた。そこで多くの立派な日本人とお会いした。

ある人は絶望の中でも毅然として生活を送り、ある人は不安の中でもそれを必死に耐えていた。そして明るさも失っていない。

私は暴言を浴びせられることを覚悟していたが、温かく迎えてくれた。

・・・・・・・・・

福島の人は「政府がやるべきことをしていない。東電は人の庭を汚しておいて掃除にも来ず、それでも年俸2400万円を受け取るという酷い会社だ」ということが判った上で、それを飲み込み、そして自衛している.

教育委員会の視野には「子供」はなく、ただ自分たちの「保身」だけがあることも承知のうえだ。

指導者と言われる人からのこれほどの仕打ち、それなのに、このような立派な態度、謙虚な心・・・私は、これは日本人だけのことか、福島県民だけのことか?

いや、あのロシア民族のそうかも知れない. かつて見本の映画の場面が思い出される. 

・・・・・・・・・

あの広大なロシアの大地の中で、自然と共に人生を送っていた農夫とその連れ合いの妻。

そこに突如としてヨーロッパの軍隊が襲いかかり、家を焼き払い全てを破壊して去った. 

残された老夫婦にロシアの厳しい寒気と雪が襲う.

「ばあさんや・・・」

農夫は瓦礫になった家の壁によりかかり、老妻と共に1枚の毛布を膝に掛けて遠くを見ている。

「ずいぶん、降ってきたわね」

雪は激しくその老夫婦の上に降り、見るみる内に二人は雪の中に没した。

老夫婦はお互いを愛し、共に生きてきた。今、こうして最後を迎え、二人の間にはいたわりも慰めの言葉もいらなかった。

ただ、心一つに大自然の中に消えていく。

・・・・・・・・・

土の上で人生を送る人たちは、高層ビルで仮想的な競争に明け暮れる東京の下等民族とは違うのだろう.

でも、土の上の人は寡黙で謙虚だ。

・・・・・・・・・

21
世紀になり、人が人として尊厳ある人生を送ることができるこの社会で私たちは人生を送っているとばかり思っていた。

「その国の政治は、国民のレベルで決まる」

と言う有名な言葉はウソではないだろうか?

首相は毎年、変わり、政権が交代しても公約を守ってはくれない。地震予知にあれだけのお金をかけても1000年に一度という大地震をまったく予知できない。

原発の事故が起こると、国民の待避は遅れる、重要情報は隠す、それに加えて子供を被曝させる文部大臣が登場するという始末だ。

なぜ、これほど「胆力のある国民」と「正義心のない政府」の組み合わせになったのだろうか?

全ての原因は「税金の取りすぎ」だ。

今の政府や官僚、東大、NHKは明確に「乞食の集まり」・・・自ら額に汗して生活をするのではなく、口先で他人の財布からお金を引き抜くことだけに長けた乞食集団・・・であることが、この福島のプリズムを通してみるとハッキリ見える.

人間社会というのは何時になったら一人一人の人間としての尊厳が尊重される時代になるのだろうか?

それは、国民一人一人がどのぐらい「偉く」なったら、実現するのだろうか?

(平成23年5月17日 午前9時 執筆)


武田邦彦

転載元頁:http://takedanet.com/2011/05/110516_53fa.html


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2011年05月15日

「それでも私はなぜかNHKの受信料を払っている??」

中部大学の武田邦彦さんのブログからの転載です。

それでも私はなぜかNHKの受信料を払っている??



読者の方から、福島のNHKの「放射線 一口メモ」。

「自然界の放射線でも日本では 平均 年間1.5ミリSV 被爆してます。海外ではもっと多いところもあります。

でも、その国で癌の発生率が高いということは報告されてません。今の福島の線量は、そこよりも低いです」

これは、御用放送で、受信料を払っている視聴者を放射線障害にさせるための放送です.

・・・

報道を訂正しておきます. 正しい「放射線一口メモ」。

「日本の法律で、「まったく安全(放射線を含まないとして良いレベル)」とされているのは、クリアランス・レベルで「1年0.01ミリ」です。」

「しかし、放射線を使うことのメリットもありますから、1年1ミリを「限度」として我慢することになっています.」(だから、1年1ミリは「線量限度」という言葉が使われています.これが限度です。)

「日本の自然放射線は1年1.4ミリから1.5ミリですが、それにプラスされる危険性があるので、1年1ミリを限度としています。」(自然放射線は3分の1が外部被曝、3分の2が内部被曝です。また、人間は自然放射線に合わせて防御をしますので、それに加えられる人工的な放射線はやや危険なのです。)

「世界には自然放射線が高いところがありますが、その土地の平均寿命が短いので、ガンの発生率が少なく、日本とは比較が出来ません。」

「世界の人の肌の色が違うのは、その人の祖先が住んでいたところでもっとも長生きするように、黒かったり白かったりしています.白い人が赤道付近で生活するとガンが増えます。」

「福島の被曝は、3月のかなりの被曝がありますので、注意しないで生活をしていると、1年に10ミリぐらいに行くでしょう。皆さん、すこしでも被曝を減らすように工夫してください。」

・・・・・・

私たちは何のためにNHKの受診料を払っているのでしょう? 私もずいぶん、我慢強いと自嘲気味です. NHKには内部告発する人もいなくなったのでしょうか?

(平成23年5月15日 昼の12時 執筆)


武田邦彦

転載元頁:http://takedanet.com/2011/05/post_dd4d.html


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2011年05月14日

”「被曝場」と化した学校・幼稚園”

中部大学の武田邦彦さんのブログからの転載です。

「被曝場」と化した学校・幼稚園



再び、先生に呼びかける。

あなたは「毎日の教育をこなせばよい」と考えていませんか?

先生の職務は「毎日をこなす」のではなく、子供を真の意味で教育し、健やかに育てること、そして今の福島や関東、宮城では被曝から守ることが第一です. 

目を覚ましてください!!

文科省の臨時の通達より、法律(1年1ミリ、子供は3倍感度が高い)に注意を向けてください。あなたは子供の健康を守る立場の国民です.

【給食】

横浜市の学校の給食に、「福島産のキャベツ,もやし,きゅうり,アスパラガス,牛肉」が使われているという。

なんということだ。

福島の農業を助けるのは良いことだが、だからといって子供達に「汚染された野菜」を食べさせるのはとても可哀想だ。農業を助ける他の方法を採るべきだ。

給食の担当者は「安全だ」と言うだろうが、それは「基準値以下」ということである。もしスーパーに「福島産」と「秋田産」が並んでいて、「福島産」のホウレンソウを買う母親がいるだろうか?

大人は自分の食べるものを選ぶことができるが、子供はできない。給食の人は本当に母親になって子供を守って欲しい.

【運動】

神奈川の4月14日、小石混りの土表面で、ヨウ素131が48000ベクレル(平方メートルあたり)、セシウム134と137がそれぞれ53000ベクレルだった。

事故から1ヶ月たって、放射性物質は地面に落ち、雑草の上にあり、そして土煙の中にある。

子供は背が低く、そして運動をする。地面からの被曝、舞い上がった土埃からの内部被曝・・・あらゆる点で子供の被曝は大人より多い。

それなのに、学校は校庭の運動を止めない。

体育館があるはずだし、体育館の床や壁を綺麗に洗って運動すれば被曝は格段に減る。

学校の先生はなぜ、子供を被曝させようとするのだろうか?

【行事】

運動会、課外事業、修学旅行などで、「わざと」子供が生活しているところの放射線量より、多いところに行く「バカげた」学校が増えてきている.

保護者にとって、この時期に放射線が強い地域に子供を行かせたくないのは当然だ。そこに連れて行くのは子供の体を心配するより、「契約した」とか「計画だから」、「中止すると文科省ににらまれる」というような教育者として考えてはいけないことだ。

「中止すると先方が困る」という理屈もあるが、「中止すると子供の被曝が減る」のとどっちが大切かは言うまでもない。

【プール】

「例年通り」運動会はする、「例年通り」プールの掃除は児童がする。

確かに「例年通り」に見えるけれど、大きく違うところがある。

それは、去年までは校庭もプールの水も放射性物質で汚染されていなかったということだ。そして子供達にとっては放射性物質は「毒」である。

なぜ、毒があるところに子供達を連れて行くのか?「毒が見えないから」と学校は言うけれど、それは大人の発言ではない.

校庭で砂埃になって腕立て伏せをする. 生徒の口は放射性物質を多く含む校庭の土に接するばかりだ。こんな光景を見て心が痛まない先生はすぐおやめになった方が良い。おそらく先生としては性質が向いていない.

【ウシ】

チェルノブイリ原発事故の時、ドイツではセシウム137を筋肉に含む牛肉は食用にならない上、焼却しても半減期が30年ということで全て処分した。

さらに遙か離れたスイスでは、(ドイツと違って)牛や羊に前年の干し草を食べさせ、また羊の群れを汚染されていない西部のフリブール州に移動させた。

日本では、福島原発に近いウシを全国(24都道府県)に移動させた。ドイツとスイスの処置は1年1ミリを守ったもので、日本では「被曝ぐらい我慢しろ」ということである。

牛乳は危険である.チェルノブイリの時でも子供達の甲状腺ガンは乳牛を飲んだことが大きく原因した。

・・・・・・・・・

多くの母が苦しんでいる.

その苦しみを「大げさだ」と言う学校は「法律違反」をしている。先生方、「放射線防御に関する法律」や「クリアランスレベル」を勉強してください。20ミリは法律違反です。

関東や東北南部の子供達は、3月の第一撃でかなりの内部被曝をしています。だから、すこしでも休ませてあげて欲しいのです。

すこしでも休ませてください・・・先生方!

(平成23年5月14日 午後4時 執筆)

(注)

かつての日本のほのぼのとした、木訥でも尊敬できる先生方がおられた小学校、中学校はすでに無いと言われています.

それは社会の変化があり、ご父兄が先生を尊敬しないこともあり、また日教組の一部の活動も原因しています.

そして、今は文科省を頂点とした軍隊組織のような古い上意下達の組織になっています.

でも、このようなことはすべて「大人の事情」であり、それで子供が被害を受けるのは可哀想です.

どんなに社会が曲がっていても、どんなに悲惨な仕打ちを受けても、それに立ち上がるのは個人の人間の魂でしょう.


武田邦彦



soranimukatte_23 at 18:53|Permalink

2011年05月13日

「科学者の日記110513  3号機の爆発と原発問題」

中部大学の武田邦彦さんのブログからの転載です。

科学者の日記110513  3号機の爆発と原発問題



福島原発1号機や3号機が不安定で、原子炉に水がなかったり、汚染された水が漏れたり、温度が上がったりしています. 東電の計画も遅れ勝ちになっています。

それもあって、福島原発の状態を心配している方が多いので、ここで現在の福島原発状態とその他の原発問題について少し触れてみたいと思います。

・・・・・・

現在日本の原発中で最も危ないのは、福島原発ではなく、北陸の方でトラブルに巻き込まれている高速増殖炉「もんじゅ」でしょう。

「もんじゅ」はかつて冷却剤として使っていたナトリウムが漏れるという事故を起こし、10年ぐらい止まっていました。

それが、やっと技術的にも社会的にも解決して、2010年に運転の準備を始めたところ、その準備中に重たいもの(燃料を引き上げるもの)を炉の中に落とし、それが引き上げられないために、どうにもならない状態になっていると言われています。

この事故は少し報道されていますが、全国的にはほとんど知られていません.

日本は民主主義ですから、政府が箝口令をひかれているということはないでしょうし、報道の自由があるのでNHKが報道を控えていることもないと思いますが、情報が入ってきません。

事態はひどく深刻で、責任者が自殺しています.

・・・・・・・・・

高速増殖炉は、 ナトリウムを減速材に使っている炉で、フランスもフェニックスという名前の高速増殖炉を開発していましたが、今では中止しています。

フランスができないから日本もできない、ということではありませんが、事故後10年も検討し、万を辞して運転の準備を始めたら途端に、トラブルに巻き込まれたというのですから大変なことです。

高速増殖炉についてはもう少し情報を取ってこのブログにも書いていきたいと思っていますが、落ちたものを拾うのに失敗して、にっちもさっちもいかないこと、地震が予想される地盤の上にあること、構造が複雑で事故に弱いこと、さらにはプルトニウムを使っていることなど、危険が満載されています。

・・・・・・・・・

次に危ない原発は、福島原発でも浜岡原発でもなく、わたくしは日本にある「その他の原発」と考えています。

福島原発はすでに破壊されていますし、浜岡原発も地震についての設計はかなり安全です(それでも、不完全なので私は浜岡原発は止めるべきと考えています)。

これに対して、日本の他の原発は、震度6の地震が来たら損傷を受けると予想されますので、福島原発よりもはるかに厳しい状態にあるということがいえるでしょう。

特に、日本海側にある原発が破損すると放射線物質は、偏西風に乗って日本全体に及びますから、これはもう大変なことになると考えられます。

なぜ、地震で、柏崎、福島、女川、東通と4つ(100%)破壊されたのに、まだ日本の原発が運転されているのか、私は理解に苦しみます.

・・・・・・・・・

浜岡原発は停止が決まりましたが、停止をしても崩壊熱は出続けますので2、3年は危険な状態が続きます。

福島原発の1号機は、5月8日、内部の高い放射線を持つ空気が大気中に放出されましたが、皮肉なことに、すでに現在までに60京ベクレル程度の放射性物質が大気中に放出されていますので、新たに放出される量は、今まで放出された量の1億分の1ぐらいになると考えています。

また5月12日には1号機の原子炉内部の水位がずいぶん低かったと発表されました。

もともと、1号機は最初の段階で燃料が壊れて下に沈んでいることが予想されていましたし、水位計は異常な値を示していましたので、この結果は驚くべきものではありません。

通常の状態で燃料が溶けるのと、いわゆる「メルトダウン」とは違いますので、これも「予想通りの合理的な結果」です。

3号機は温度上がって普通では危険な状態です。

しかし、これも3月の中旬に大爆発を起こしていますので、最大で同じ規模と考えられます. それは、3月の中旬に起きた爆発が水素爆発であるか核爆発であるかは明確でないこととも関係があります。

一説には、爆発後の爆風の速さが音速を超えていたことから、核爆発ではないかとみられています。

核爆発と水素爆発は、爆発の種類としては決定的に違いますが、原発があのように破壊された状態では、結果的に水素爆発も核爆発もそれほど大きく違うわけではありません。

つまり、原発というものを技術的に見たときには、この2種類の爆発の違いは大きいのですが、放射性物質で被爆する私たちから見ると(たとえば赤ちゃんをどこまで逃がすかというようなことでは)、あまり強い関係はないのです。

一応、危険がある可能性を頭の隅において、その対策を具体的に考えておいたほうが良いのですが、行動はまだとらなくても良いと思います.

4号機は、使用中燃料の貯水プールの下部が破壊されていますので、それを至急、補強する必要があります。5月中旬には補強が終わるので、これについては特に問題がないと考えています。

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原発について、日本人記者などを集めた記者会見が延々と行われていますが、わたくしは、これは政府が福島県やその他の地方の被曝の問題が深刻なので、それを隠すために行っている情報操作とも考えられます。

今、大切なのは「長期間続くと考えられる国民の被曝」に対する至急の対策であって、できるだけ早く福島や近県をクリーンにするために何とか日本全体で福島や近県を手助けすることだと考えています。

しかしその力が出ないのは、まだみんなが福島原発のことが気になり、議論がそちらに行っているというのが私の見解です。

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また、神奈川県の茶葉がセシウムで汚染されていたように、汚染は少しずつ外に広がっています。

これを何とかして止めなければなりません。ドンドン拡がったら、日本の農作物は食べられなくなるからです.

魚も油断できません.

その意味で、ウシや瓦れきを全国に持って行って処理することは全く非常識な行為であり、校庭の表土を天地替えすると地下水が汚れますし、汚染された汚泥をセメントで固めたりすると、それがどこに行くか判りません。

家畜を24都道府県に移動させる計画は、「産地」が判らなくなるという点で、日本の食材にさらに打撃を与えるでしょう.

原発の情報に気を取られると、日本がすっかり汚染列島になってしまうのが危険です.

(平成23年5月13日 午前8時 執筆)


武田邦彦

転載元頁:http://takedanet.com/2011/05/1105133_d590.html

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