「詰まれば噴き出す」きょうの空

2008年06月24日

つながりさえすれば

前のブログでも紹介した記憶があるのですが
盲ろう(視覚と聴覚の重複障害)の福島智さんが
NHK「ようこそ先輩」に出演されていました。

福島さんは、3歳で右目、9歳で左目を失明、
18歳のときに失聴し「盲ろう者」になり、
それでも、あきらめずに大学に進学してみごと卒業。
現在は、東京大学先端科学技術研究センターの准教授。

授業は、目も見えず耳も聞こえない福島さんに
子どもたちが一人ずつ自己紹介することから始まりました。
てのひらや背中に文字を書くなどして。

その後、子どもたちは二人一組になって、
一人はヘッドホンとアイマスクで「盲ろう」の状態になり、
もう一人はヘルパー役になり、
別の階にある目的地に誘導し(途中に階段がある)、
そこに用意された2つの飲み物から好きな方を選ぶ手伝いをする、
という「体験」をしていました。

そして、もしも自分が目も見えず耳も聞こえなくなったらという設定で
一週間の日記をつけるという課題が出されて、
子どもたちがそれぞれに書いた日記を発表していました。

悲しみや困惑している気持ちが、結構リアルに表現されていました。
やはり実際に体験するというのは大事なことなのですね。

目が見えない、耳が聞こえない、それ自体がつらいのではなくて、

誰ともコミュニケーションできないことが一番つらくて大変なこと。

光も音もない宇宙空間の中にひとりぼっちでいる苦悩。
ほかの人の存在を感じないなら、ほとんど存在しないのと同じ。

そのように話す福島さんは、
それでも、どん底に落ちた時も自殺しようとは思わなかったそうです。

自分の人生にとって、この苦悩がなにか意味があるのだろう、
将来自分の人生を輝かせるために、この苦悩を経験しなければならない、
そう自分で自分に言い聞かせていたそうです。

なにがなんでも生きていくことは、

目が見えまいが耳が聞こえまいが同じ。

生きているだけで80%か90%人生は成功している

そうもおっしゃっていました。

十何年か前、大田区で手話を習っていたときに
福島さんの講演の場がもたれ、お話を聞いたことがあります。
冗談ばかり言って、声も大きく、とにかく明るい性格は
生まれ持ってのもののようでした。

特別な使命を負って
この世界に生まれてこられた方のようにも思えます。

子どもたちとの質問タイムで、
「人生の中で一番よかったと思えることは何ですか?」
という質問に対して
福島さんは次のように答えていました。

「それは難しい…(しばらく考えてから)
 一番よかったことは僕が生きていること。それは奇跡的なこと。
 こうして君たちにも会えた。」


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参考)
検索したら、福島さんに関する記事がありました。

東大の博士となった「日本のヘレン・ケラー」(中央日報 6/8)
http://japanese.joins.com/article/article.php?aid=101058&servcode=400§code=420


soranimukatte_23 at 00:00│ 社会 
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